ダウ理論とは
ダウ理論は、6つの基本法則から構成されるといわれます。
1.平均はすべての事象を織り込む
2.トレンドには3種類ある
(1)主要トレンド:1年~数年のサイクル
(2)二次トレンド:3週間~3ヶ月のサイクル
(3)小トレンド :3週間未満のサイクル
3.主要トレンドは3段階からなる
(1)先行期
(2)追随期
(3)利食い期
4.平均は相互に確認されなければならない
5.トレンドは出来高でも確認されなければならない
6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
いや、、すごいいっぱいあるし難しい。。
「主要トレンドは3段階からなる」というのはエリオット波動論にも繋がるところがあり、本当にそうだな~と感じることがありますが、
ひとまず、とりあえず、最初は
「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」
これだけ意識していただければOKです。
なぜなら、トレードで一番重要な「トレード参加者の心理」と親和性が高いからです。
具体的には、
新しい高値安値が、以前の高値安値と比較して、それぞれ切り上げていれば上昇トレンド
(安値切り上げ&高値更新で上昇トレンド継続)
新しい高値安値が、以前の高値安値と比較して、それぞれ切り下げていれば下降トレンド
(高値切り下げ&安値更新で下降トレンド継続)
です。
そして、これらが実現しなかった時、トレンド継続が終了したと考えます。
ここで、「高値・安値とは、何を基準にすればいいの?」
そんな疑問が湧くと思います。
これはユーロドルの1時間足ですが、このようなチャートの場合、どのように考えるとよいでしょうか。
↓
※画像はクリックしていただくと新しいタブで開きます。本文と照らし合わせてご覧ください。
これらがポイントになるかと思いますが、このポイントの基準としているものは、やはり「水平線」です。
※水平線につきましては 処方箋 水平線 へ
目立つ節目を水平線によって確認し、そこをポイントと考えています。
※⑦の上下の水平線は、説明しやすいように半端に引いてあります。
これには正解はありませんが、見ている時間足の中で、妥当なところに当たりをつけるしかないように思います。
私は水平線を重視して当たりをつけていますが、この辺りは正直経験が必要になってくると思います。
この辺りが「裁量」なんだと思います。
では、ダウ理論とトレンド転換を見てみたいと思います。
①から②へ下落して反発、③まで上昇したものの①高値を超えられず②をブレイク
(高値切り下げ&安値更新で下降トレンド確定)、
④まで下落して反発、⑤まで上昇したものの③高値を超えられず④をブレイク
(高値切り下げ&安値更新で下降トレンド継続)、
⑥まで下落して反発、⑦まで上昇したものの⑤高値を超えられず⑧まで下落。
(この時点では前回高値⑤を超えられていないため下降トレンド継続中)
しかし⑥の安値を抜けずに⑦をブレイクし⑨まで上昇
(安値切り上げ&高値更新で上昇トレンド転換)
⑩まで下落するものの⑧の安値を抜けず⑪まで上昇
(安値切り上げ&高値更新で上昇トレンド継続)
の流れに見えます。
ここで、もし⑦の上昇が⑤を超えるものであったならば下降トレンドが否定され、【トレンドレス】となります。
これは安値の切り上げがないため上昇トレンドへの転換ではありません。
すなわち、【上昇トレンド(継続)】か【下降トレンド(継続)】のどちらかだけでなく、【トレンドレス】という状態があるので、注意が必要です。
値動きを丁寧にみて読み解いていく作業が必要になります。
なお、⑧から⑪までの動きですが、⑨⑩のポイントをスルーする考えもあるかと思います。
意識されていた⑤や②の大きな節を重視する考え方です。
その場合でも、⑧の安値を抜けずに高値を更新しているので上昇トレンドに転換していると言えるものの、⑪高値は更新しておらず、安値切り上げ&高値更新で上昇トレンド継続とまでは言えない状況です。
⑪を超えてくれば、安値切り上げ&高値更新で上昇トレンド継続、という動きになります。
ダウ理論が有効である理由
「ダウ理論がなぜ有効なの?」という疑問が湧くと思います。
それは、「そのようになれば、そうするしかないから」です。
は?という感じだと思いますが、先ほどの図を再度使いましてご説明を。
②の節が以前から意識されていた節目だとすると、②から反発すると踏んで買ったトレーダーは、もし下落して損失を抱えることになった場合、②を割ったところで損切りすると思われます。
それは②での反発を確認して、③付近で買いポジションを持ったトレーダーも同様です。
そしてそのポイントは、「ダウ理論」として説明がつく、「高値切り下げ&安値更新」のポイントでもあります。
これは④のブレイクでも、⑦のブレイクでも、その他「ダウ理論」として説明がつくポイントであれば皆同じです。
世の中にはダウ理論を考慮せずにトレードする参加者も多くいると思いますが、それでも損切りを置いたり、新規注文を入れるポイントは似通ってくるのだと思います。
それは、「目立つ節」なんだと思います。
結局、ダウ理論が意識されて値が動くわけでなく、目立つ節目を抜けることによって損切り&新規注文が集まって値が動く、ということですね。
そしてそれは、ダウ理論で言われているポイントと合致することが多い、という話です。
これを言ってしまうと元も子もないのですが、値動きを丁寧に追いかけていけば、ダウ理論も必要ない、ということになるんですよね。
正直、そのような考え方もアリだと思います。
ちなみに、前述した「そのようになれば、そうするしかないから」ですが、正確には、「そのようになれば、そうするしかないと考える参加者が多いから」と言えますでしょうか。
この微妙な言い回しが実は大切だったりします。
これを理解できているかどうかで、トレードに対する考え方が変わってくると思います。
は?という方は、ひとまずは「絶対確実なものなど無い」ことを念頭に置いて、「自分がここでポジションを持っている状況で、値がここを抜けたらどうするか」というシミュレーションを何度も何度もやってみてください。
トレードへの活用
ダウ理論の原則どおりのトレード
直近高値安値のブレイク(ダウ理論でいうトレンド転換ポイント
②、④の節を割るポイント
⑦、⑨の節を超えるポイント
押し目買い、戻り売り
②の下の節を意識して、⑤での接触で戻り売り
⑦の節を意識して、⑩で押し買い
応用したトレード
水平線とトレンドラインを加味してトレードします。
※トレンドラインにつきまして詳しくは 処方箋 トレンドライン へ
(A)は、下降トレンド中のさらなる下落を狙うトレードです。
この画像は1時間足ですが、この部分を15分足等の下位足で見ると、水平線により節目もしっかりと確認できると思います。
(B)は、トレンド転換を狙うトレードです。
⑧の値の切り上げにより下降トレンドの終焉の可能性があり、上昇トレンドへのトレンド転換の手前を狙う、「一歩先を狙う」やり方です。
ダウ理論の原則を活用してトレードをするのが安全な道ですが、積極的にリスクを負うトレードです。
もちろん、反転する可能性も高い(⑦での反発)ので、資金管理・リスク管理はしっかりと行なう必要があります。
損切りですが、(A)は⑤の上で幅を狭く設定できますが、(B)は⑧や⑥の下となり、幅が広くなるので注意が必要です。
(2%ルールを徹底すれば、損失額は同じではありますが)
ちなみに、(B)で打診買いを入れて、⑦をブレイクしたら増し玉を入れるやり方もアリだと思います。
ぜひ検証して統計を取ってみてください。
なお、水平線とトレンドラインブレイクをものすごくシンプルにした手法をトレーニング手法として公開しておりますので、よろしければご覧ください。
ここにダウ理論をプラスするとオリジナルのさらに期待値の高い手法・ルールとなると思いますので、ぜひチャレンジされてください。
ダウ理論も万能ではない
当然ですが、ダウ理論も絶対確実な聖杯ではありません。
例えば、上昇トレンド中、高値の切り下げの無い安値更新によるトレンド終了の型もあります。
(いわゆるダブルトップの形ですね)
これは、上昇トレンド継続の要素「安値切り上げ&高値更新」でもなく、
下降トレンド継続の要素「高値切り下げ&安値更新」でもない、
「高値切り上げ&安値更新」なのですが、これは上昇トレンドの終了サインと同時に、下降トレンドへの転換の始まりでもあります。
「ダウ理論崩れ」と考えられて、サプライズにより大きく値が動くこともあります。
これを見ると、「どんなことも起こり得る」ことが分かります。
繰り返しますが、ダウ理論も絶対確実な聖杯ではないことを念頭に置いて、それでも「トレード参加者の心理」を表すものとして、しっかりと意識してチャートを当たってみてください。
以上、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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